2013/9/8

9月議会傍聴記その2

関口議員 「図書館サービスを基本的にどう考えるか」
竹内市長 「図書館法は古い。多世代交流・ふれあいの場に」
 
 
ヤジと私語  今日も、昨日と同じ一部議員がヤジを飛ばしていました。その上、傍聴席に一番近い最後列で4人の議員が私語を交わし、質問者、答弁者の発言が聞き取りにくいことが何度もありました。こういうことを注意する制度はないのでしょうか。傍聴者にはあらかじめ「ヤジ、拍手、私語は禁止されています。退席をしてもらうこともあります」と注意書きを手渡されます。市民の代表として審議に関わらなければならない議員が質問も答弁も聞かずに私語をしていていいのでしょうか。ヤジだけでも首を傾げるのに。
(実は私たちも謝らなければなりません。お目当ての質問が終わり退席しましたが、議場外の廊下で立ち話をして議会事務局員から注意をうけました。本当にすみませんでした。以後慎みます。)


 9月5日に市議会一般質問では、関口正人議員と笠谷圭司議員が図書館問題について質問しました。笠谷議員質問はあまりに早口でメモが取りきれず、的確な報告が出来そうにありません。関口議員質問を中心に報告します。
 
 関口議員は、
 * 市民への情報提供が不足している。    
 * 図書館サービスを基本的に同考えるか。
 * 蔵書・選書の現況と民営化後どうなるか。 
 * 図書館員の雇用について
 * ボランティア活動との関係、
などを客観的にかつ公平な姿勢で質問しました。 再質問も含めて仕様書の内容や管理の基準、全体の作業スケジュールなどにも及ぶ詳細な質問内容でした。
 市長及び市側の答弁は、論点がずれたものもありましたが、幾つか目新しい点もありました。また、特に市長が述べた「図書館のあるべきビジョン」は極めて大きな問題を含んでいます。(市側答弁は吉岡副市長と佐々木まちづくり部長)。関口議員は最後に「まだまだ市民への情報が足りない。市民の意見を聞く場も作って欲しい」と述べて質問を締め括りました。
 
 以下は市長、市側答弁の主なものです。 
 


市長答弁その1: 図書館法は昭和25年に制定された古い法律だ。当時は戦後間もなくで無償で本を提供し国民の知識を向上させる必要があった。しかし、現在は時代の要請、国民のニーズも大きく変化した。図書館法だけでは対応できない。もっとひろく生涯学習の施設として「多世代交流・ふれあいの場」としていくべきだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
市長答弁その2: 民間委託は第一儀的に市民のニーズが多い開館日の拡大にある。なにより利用機会を拡大することだ。現在は午前10時から午後6時の開館時間を、午前9時から午後8時まで延ばすことを基本としたい。また、現在年間85日ほどの休館日を20日以内にしたい。これに伴い諸コストの増大が見込まれるが、民間の柔軟な人員配置と勤務シフト、全館一括運営による業務の整理・合理化で、現状の予算水準で実施が可能だ。直営ではこうしたことは不可能だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
市長答弁その3: 指定管理制度は図書館に適合する。
近年、指定管理者制度を採用する自治体が増えているのがその証拠だ(直近データではほぼ1割が採用=傍聴者注)。民間業者もこの間、ノウハウを蓄積してきたはずだ。そうした民間ならではの新たなサービスが展開できると期待している。 図書館に関連するボランティア団体は12ある。制度導入後も引き続き協力をお願いする。指定管理者も積極的に対応するので、協働により一層のサービス向上を目指して欲しい。市民への説明責任は
果たしていきたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
市側答弁その1: 選書は市が責任をもつ。
 現在は利用者のリクエストなどに地域特性を考慮して司書の合議によりリストを作成し、図書館長が最終決定している。民営化後も選書権は市に残すことを条例に盛り込んでいる。市が責任を持って判断する。資料購入費は特殊な年を除いて近年2000万円前後で推移しているが、この水準を維持する。これらは業者の協定に明記する。
 
 
 
市側答弁その2:図書館員の処遇について
 司書職の正規職員はその経験・能力を生かせる一般事務職へ、嘱託職員・パート司書職員は市の事務補助パート職員とする。
 
 
 
 
 
 
 
市側答弁その3:仕様書、管理基準など。
 業者の提案などを経て決まったら、条例改正を改めてだす。全体スケジュールは年度内に全ての作業、手続きを終了するということだ。
 
 
 
 
 
 
傍聴者の感想・意見: 図書館法は確かに歴史の古い法律です。市長が故意に避けているのかもしれないが、図書館は小中学校と同じ「教育機関」と規定され社会教育の拠点として、行政が責任を持って運営すべき施設であることは法律上明らかです。
 近年、それに生涯教育という役割も加わりました。それを単なる『交流・ふれあいの場』と位置づけるのは法律の曲解以外のなにものでもありません。図書館は全世代の「学びと成長」を支援する教育の場「知の拠点」です。これこそが社会教育・生涯教育の意味です。このことは法律が古い新しいに関係なく、いつまでも尊重されるべき民主主義の根幹です。一首長が勝手に解釈を変えられる事柄ではありません。
 
 
 
傍聴者の感想・意見: 市長が未確定としながらも具体的に会館日・時間の拡大について述べました。委託経費につても「現状の予算水準」(今年度で約2億7000万円)と示唆しました。「利用機会の拡大」がこんなに大括りな計画で良いのでしょうか。需要実態に合うかどうかも分りません。開館日数、開館時間をもっと合理的に設定すれば「現状の予算水準」より委託費を減らせる可能性は高いはず。年末・年始と特別整理期間を除けば通年開館になるようです。確かに喜ぶ利用者もいるでしょう。しかし、バックヤードでの作業は大丈夫でしょうか。返本のチェック、整理、書架への再配置、補修、閉架書庫の管理など日常的な裏方の作業はいつやるのでしょうか。人員は最小限に絞られ、表の仕事で手一杯でないでしょうか。
 
 
 
傍聴者の感想・意見: 指定管理者制度が図書館で漸増していることは事実です。しかし、逆に11年もたって僅か1割という見方もできます。『図書館になじまない』とする見解は、全体的に見れば識者の中でなお主流です。直営に戻した自治体もあります。大きな成果を数値的に示している民営化図書館がどこにあるでしょうか。図書館に適合するといえるほどの実績はまだありません。また、業者が蓄積してきたノウハウはどんなものでしょう。
 図書館にはとそれぞれ地域の特殊性があります。三田市だけ見ても、本館とウッディ分館と藍分室では立地条件から違います。一律に適用できるノウハウがあるでしょうか。また、そもそも図書館業務はノウハウやマニュアルでまかなえるのでしょうか。ボランティアグループの対応も様々でしょう。ただ、傍聴者の個人的感想を言えば、民間業者との協働でどのようなサービスの向上が出来るか全くイメージできません。
 
 
 
傍聴者の感想・意見:選書権を市に残すのは当然のことですが、具体的方法はまったく不明確です。現在どのように選書が行われているかは、「コラム」を参照してください。このように緻密な作業が指定管理者に期待できるでしょうか。また、市のどんな部門のどんな人が最終決定するのでしょうか。その人はどういう方法で選書力を身につけ維持するのでしょうか。
 

 
傍聴者の感想・意見: パート職員は全員解雇かと思っていましたが、そうではないようです。パートの皆さんが意思に反して指定管理者への転職を強要されないように願いたいものです。
 しかし、そうなるとこれらの人件費分は、すべてあらたな市の負担となります。それだけ支出を増やしてまで民間に委託するなら、直営でもかなりのことができると思います。理解できない論法です。
 
 

傍聴者の感想・意見:ここで、「条例改正を改めてだす」という答弁が出てきました。これはどういうことでしょうか。指定管理者制度をさだめた地方自治法第244条の2は次のように規定しています。まず第4項。「前項(第3項をさします。=傍聴者注)の条例には、指定管理者の指定の手続き、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする」とあります。次に第5項では「指定管理者の指定は、期間をさだめて行うものとする」となっています。 今回提出された「図書館条例改正案」には、「図書館の管理は指定管理者に行わせることができる」と規定されています。「業務の範囲」については、「選書」を除く全ての業務を委託することができるとされています。しかし、「指定の手続き」「管理の基準」「指定の期間」は全く示されていません。法が定める肝心なことが幾つも欠落しているのです。審議すべき項目が盛り込まれていないとは、一体どういうことかと思っていました。 
 が、この日、市側は「仕様書、管理基準がきまったら、また条例をだす」と答弁をしました。
エッ、それでは、今の改正案が成立し来年4月に実際に施行される前に、また改正案が出るということになるのですか。素人は目をシロクロさせなければなりません。何故、すべて一括してだせないのでしょうか。
 
 
 

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