9月議会傍聴記 その4

 賛成5:反対1 委員会で条例案可決

 本会議での一般質問を受けて910日、まちづくり常任委員会で図書館条例改正案の審議が行われた。最初にわたしたち「三田市の図書館を考える市民の会」が提出した「陳情書」の審査が行われ、これに対する三田市当局からの説明(意見表明)があった。陳情書の趣旨である4項目について、まちづくり部の下嶋次長が、逐条ごとに反論しすべてを否定。それを受けて、委員の質疑が行われた。自分たちの出した陳情書が俎上に載せられ、目の前で批判にさらされているのに、一言も声を上げることができない。何とももどかしい。しかし、これが「広く市民の声を聞くということの実態なのだと自覚させられた。

市側「市民への説明はすべてが決まってから、時期は年明け早々」

 
陳情書についての議員の質疑は、主に「これまで市民の声を聞くことがまったくなかった」「決める前に市民の声を聞くべきだ」ということに集中したが、市側の答弁は一貫して「決まった後で説明する。今意見を聞く必要はない」だった。


陳情書への意見と合わせて市側の答弁をまとめると以下のようになる。

①過去の経緯、先行自治体への視察、社会教育委員の会の答申など、従来の説明を繰り返した後、指定管理導入は市長の政策判断で決定したことなので、時期を延ばす必要はない。一年繰り延べは必要ない。現直営体制では開館時間の拡大は絶対不可能。直営継続を考える余地はない。

②社会教育委員の会へ諮問と答申で市民の声は反映されている。具体的内容が決まっていないので、今の段階では市民の声を聞くことは考えていない。12月の指定管理者選定の議決後なら考えても良い。具体的内容が固まった時点でホームページ、広報などを通じて市民に説明する。時期は年明け早々になるだろう

③指定管理移行後、市民の声を聞く場として、郷の音ホールの場合は経営側と利用者側の懇談会があるが、そのようなものを考える。図書館利用者と常に対話をするよう指定管理者に求める項目を(仕様書に)盛り込む。生の声を聞く場を作るように指定業者にお願いする。図書館協議会は発展的解消し変遷を経て現在、生涯学習審議会になっている。改めて協議の場を作る必要はない。

④図書館ボランティアには直接説明する。

さらに要約すれば次のようになるだろう。

*今、市民の声を聞くつもりはない。

*具体的内容が決まったあと市民に説明する(しかし、直接ではなくホームページや広報を通じて。あくまで「説明する」で「意見を聞く」ではない)

 *ボランティアには直接説明する(これも「意見を聞く」と  は絶対に言わない)

民間委託後の業者と市民の対話を業者に「お願いする」
   
(義務付けではない)

 三田市当局にはわたしたち市民の声を聞くつもりはまったくないことが良く分かった。市議たちも、これらの答弁であっさり矛を収めた。この時点で8500人を超していた「陳情書に賛同する署名」について、市当局はもとより一顧だにしない姿勢。議員側も『まァ、ちょっと考えてやってよ』と市側に要望する程度のことで終わらせてしまった。議会基本条例には「……多様な市民の意思を市政へ的確に反映させるため、活発な討議により多様な観点から市政監視と政策提言を行う……」とあるが、8500人を超す意思表示でさえ的確に反映して貰えないのが現実だ。

 

もう一点。美籐議員が冒頭、「社会教育委員の会への諮問と答申の間に齟齬を感じた。それは、市長の決断ということで理解しても、市民アンケートもしていない、365日間開くことが本当に市民の声か」と質したのに対し、佐々木まちづくり部長は、「昨日も9時まで開けて」という要望があった、議員からの質問も多数いただいている、市民の声も何件かある、と答弁した。市長はじめ当局者が『開館時間の拡大に多くの希望がある』と再三述べているが、その実態は、「一部議員の要請」が主で、市民の声は「何件か」(以前は「数件」)だということが分かった。こうした細部から真実が漏れ出てくる

また、平野議員が「指定管理と民営化は違うはずだ」と、市民の会の陳情書に両方イコールで使われている“誤り“を指摘し、その説明を当局に促す発言をした。当局は勇んで、指定管理は「管理を委ること」、民営化は「委譲すること」で、全く違うと答弁。

市当局と一体化した議員を目の当たりにした瞬間だった

 
議会基本条例が高らかに謳う二元代表の精神は言葉だけのことのようだ。誤りを指摘するなら自らが丁寧にやればいいことで、市民運動に対する悪意さえ感じた。付言すれば、わたしたちは素人で、法律的厳密さで文言を使っているわけではない。その必要もない。指定管理=民営化、委託であろうと委譲であろうと、市民感覚から実態は変わらない。

 

 午後からは議員同士の討論、採決に進んだ。討論での各議員の発言要旨は次の通り。

中田議員:民間に移管した場合、サービスの維持向上が心配だ。もっと時間をかけて考えて欲しかった。

平野議員市民が移管後を心配しているが、それは市長がしっ かり見極めると言っているし、責任は自分がとるとも言っている。市民の使い勝手の良い場所にして欲しい。

美藤議員この議案に賛成の立場をとる(傍聴席の市会議員からお~ッ!の声と若干のヤジ)。市民から多くの署名が届ている。今後は慎重に対応して欲しい。

肥後議員賛成の立場をとります。条例が通らないと討論が前に進まないのかな(ここから後はあやふやで聴き取れず)

福田委員長、家代岡議員、森本議員は発言なし。

 

最後に福田委員長から「継続審議とすることもできますが…」の問いかけが二度あったが、これには全委員反応なし。賛否を問うたところ平野議員、美籐議員、肥後議員、家代岡議員、森本議員5人が賛成中田議員が反対『図書館条例案』は委員会可決となった

午後の質疑討論の中で、特定委員の発言に対し、同僚委員が“話の腰を折る”発言を頻発。委員長も「長過ぎる」なとどその委員の質問を制し、それに被せるように傍聴している議員から一斉にヤジが飛んだ。真摯に議論をするのではなく、意見の違う委員への発言封じ、バッシング、小学生のイジメ以下の印象だった。市議会でこんなことがと正直驚いた。聞くに堪えない、見るに堪えないシーンだった。

 

12月に改めて条例改正案が提出され、また議会審議があるとしても、『図書館の管理は指定管理者にこれを行わせることができる』との文言で、来年度から市立図書館へ指定管理者制度を導入する道が大きく開かれた。わたしたち市民の会は、918日の本会議採決に向けて、なお署名活動続けるとともに、どのような最終決着になるかを注意深く見守りたい。それぞれの議員がどう振る舞いどう行動するかをしっかりと見極めたい。そしてその後も、自然体でわたしたちの考え方を発信し、市民の皆さんとともに考えていきたい。(2013.9.12)



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