傍聴記その5-①

市の具体的計画の一部が明かに

 9月18日午前、本会議で図書館条例改正案が可決されたのを受けて、午後からまちづくり常任委員会が開かれ、指定管理候補者選定について選考委員会を設置することと募集要項、業務要求水準書についての説明が市当局から行われた。

 選考委員会は学識経験者、公認会計士、自治会代表、生涯学習審議会委員、公募市民の5人で構成され、9月25日の第1回選定委員会で委嘱され氏名が公表される。

 指定管理者の公募は10月1日に公告、10月10日から募集開始、10月29日締切、11月5日の選定委員会で応募業者のプレゼンテーション、11月上旬候補決定、12月議会で指定決定、というスケジュールが組まれている。

 

★運営費(委託費)は年2億5400万円

 募集要項の概要として、

         ①指定期間は5年間(平成26年4月1日から平成31年3月31日まで)。

         ②指定管理運営経費は2億5400万円(平成24年度決算額相当)。

        5年間で12億7000万円。

        ③ウッディ分館、藍分室の光熱水費は市(市民センター)の負担。

 

       選定に際しての評価対象提案の課題として、以下が列挙されている。

         ①図書館を利用したことのない市民に対する情報発信方法。

         ②施設を最大限活用した多世代の憩いの場としての整備案。

         ③子育て支援を主眼とした事業案。

         ④資料の貸出数によらない活動評価指標。

         ⑤職員が誇りをもって職務に取り組める職場づくりの考え方。

         ⑥開館時間の拡大にともない来館者の誘致をはかるための取り組み。

 

 ★休館日は年間13日以内、時間は3時間拡大

         業務要求水準案の概要として、下記が挙げられている。

        

    • * 監督者、主要職務の担当者など指定職種には司書を当てる。

      * 資料購入費は指定する最低基準以上を充当する。
    •  移動図書館は現行体制を最低限とし拡大も視野に入れる。

    • *  応募者に提案を求め業務計画に反映させる事項としては、 「人員体制」「休館日は年間13日以内」 「開館時間は各館平日3時間程度拡大」「来館困難者へのサービス向上策」

 

 その他の要求事項として、次の各項目が盛り込まれた。
 

  •       

    • 新規採用の際、三田市民及び現在図書館で勤務している職員雇用に配慮する。

    • 障害者サービスの担当者などにできるだけ障害を持つ人の雇用を配慮する。

    • 資料や資材の調達、業務の再委託先の選定には地元経済振興に配慮する。

    • 利用者アンケートを随時実施し業務の改善に努める。

  

 特徴的なのは、「業務要求水準案」に学校図書館との連携、ボランティアとの連携がまったく盛り込まれていないこと。学校図書館については議員から質問が出て、「現在もやっている事業なので、業者の年間業務計画に盛り込ませ採点の対象とする」と訳のわからない答弁があった。現在、図書館と学校図書館の連携は、団体貸出以外はほとんどないのが実情。ボランティアと登録団体については質問さえなかった。

 また、分館・分室の光熱水費は業者に分担を請求するのではなく、市が負担するとなっている。民間業者への利益供与(過剰サービス)ではないか。その他、「来館者の誘致をはかる」「利用したことのない市民への情報発信」とある。開館時間拡大の要望が非常に多く、環境さえ整えれば来館・利用者は急増するという想定ではなかったのか、市側はそう答弁してきたのではなかったか。こんな項目を盛り込まなければならないとは、やっぱり、本当は自信がない? 要望が多いは嘘? 

 「移動図書館の拡大」「地元経済振興への配慮」は義務付けではなく「お願い」程度のこととの答弁だったし、「障害者サービスに障害者を雇用」という訳のわからない項目もある。

 まちづくり常任委員会に示された「募集要項」「業務要求水準書」はこのまま業者に示され選定手続きが進む。しかし本来、ここに書かれている「指定の手続き」「管理の基準」「指定の期間」は、この日議決された図書館条例に盛り込まなければならないものだ。条例から外してこういう形をとるのは法律違反と言わなければならない。(コラム「改正条例に必要事項が欠けています」を参照してください。) 

 

 委員会の質疑応答の中で明らかになった注目すべき点が幾つかあります。

それらも順次報告します。(2013年9月22日)

 


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