傍聴記 その5-

見積もりを取っていた、それも昨年度に

「意中の企業」はすでに決まっている!?

 

 918日のまちづくり常任委員会で、「えっ!」と驚いたのは、佐々木部長の「昨年度に見積もりを取った」との発言です。これは、指定管理料が前年度の決算額相当の25400万円とされていることについて、H委員が「この額を上限とせずもっと増やせないのか」と質問したのに対する答弁でした。その内容は「業者の見積もり額は25400万円より低かった。この額を上限としても問題ない」という趣旨でした。

 

 昨年度といえば、社会教育委員の会から答申が出たのが311日。となると答申のあと331日までの20日間か、あるいは答申が出る前、まだ社会教育委員の会が審議している最中に、企業から指定管理料の見積もりを取っていたことになります。何とも手際の良いことです。

 答申の如何にかかわらず、市は指定管理者導入を前提に作業を進めていたことが、端無くも明らかになりました。見積もりを取るということは、業務内容について詳しく説明し、企業側ではきっちりと積算したうえで額を算出しなければなりません。かなり膨大な作業になりますから、複数の企業との間でなされたとは考えにくく、佐々木部長の口ぶりも「複数社から」とは聞こえませんでした。

 

 結論的にいうと、市は社会教育委員の会へ諮問した昨年度中に、「指定管理者制度導入を決断」し、その準備作業を進めていた。そして、特定企業と綿密な折衝を行っていた。925日に選定委を立ち上げ、これから選定作業を進める形をとっているが、この発言だけでもそれはポーズに過ぎず、すでに意中の企業は決まっていると推察することができます。 入札ではなく、「企画提案方式」による点数制での選定方式は、こういう裏技を使うには極めて便利です。点数は主観が支配します。5人の選定委員を「意中の企業」へ誘導するのはそれほど難しくないでしょう。その企業が選ばれるのは100%間違いないと言ってよいと思います。

 

 こうした推測は市側の他の答弁からも裏付けられます。

三田市幹部から説明を受け、また議会の質疑を聞いていて不思議に思ったことが何度もあります。それは、民間企業に対する「異常とも思える信頼・高評価」です。

「制度発足以来10年の経験があるので、図書館運営に優れたノウハウを蓄積し、優れた人材を持っていることは違いないから任せて大丈夫だ。新たなサービスについても必ず斬新な提案をしてもらえる」といった調子です。何故こんなにも素朴に信じることができるのか理解できませんでした。

 図書館の指定管理に名乗りを上げる企業は1社だけではありません。全国的に見れば10数社にのぼります。市は先行して導入した幾つかの図書館を視察したとのことです。好意的に考えれば、視察先のどこかで「素晴らしい先行例と素晴らしい企業」に出会ったのでしょう。 高い評価は企業一般にではなく、ある特定の企業に対するものと考えるのが自然です。9月議会の質疑の中では他にも、「ワーキングプアを生むような企業は選ばない」「委託費が安いだけでは選定しない」「質の高い提案のできる企業を選ぶ」という答弁が何度もありました。特定企業をイメージした発言に聞こえました。

 以上の発言と今度の「見積もりを取った」答弁をつなぎ合わせると納得できます。業界に詳しい人の話では図書館の場合、見積もり書を作るにしても膨大な作業になり、経費もバカにならない。そこで企業側は正式契約の前に「発注内示」「仮契約」、そこまでいかなくとも、「覚書・メモ」などを要求するケースが多いそうです。証拠のある話ではありませんが、すでに「意中の企業との間ですっかり話が煮詰まっている」と推測して大きく間違いはないでしょう。

 市幹部の「見積もり発言」「民間企業信仰答弁」は、意図的なものか、
うっかり本音を漏らしてしまったのか。いずれにしろ「裏に事実あっての言葉」に聞こえました。

 

 それにしても「企業の見積もりよい高い額」を設定するとは、三田市は太っ腹です。

 さて、意中の企業とは一体どこなのでしょうか?(2013年9月27日



lib-kangaeru@outlook.jp


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