図書館の嘱託司書・パート司書の処遇について

 

 図書館への指定管理者制度の導入によって、図書館職員の処遇が大きく変わります。昨年末来、市当局と市職員組合の交渉が行われてきましたが、話し合いはもつれている様子です。新聞報道などによると、24日・5日には図書館の嘱託職員を含む組合のメンバーが市長室前で座り込み、嘱託職員の雇用について交渉を再開するよう求めました。その後も抗議行動が続いています。しかし、市当局は交渉打ち切りを通告し決裂状態というのが現在の状況です。

 

 職員組合が発行するニュースや事情通の人の話などによると、市当局の方針は次のようなものです。

①正規職員については事務職として働いてもらう(つまり、司書資格を持つ人も今後はその能力・経験を生かすことはできず事務職に回されるということ。正規職員は管理職を含めて13人。うち司書は8人)。
②嘱託職員と臨時職員(パート)で指定管理企業
TRCに就職しない人は、1年間だけ事務補助職員として雇用する(1年後に解雇ということ。嘱託司書は19人、パート司書は25人、この他に庶務パートなどが4人、合わせて48人。職員数は昨年の資料ですから変動があるかもしれません)。

 

 現在図書館で働いている人は、この4月から、それぞれの事情や選択によって、「市職員として残る」「TRCに就職する」「他の企業に転職する」「仕事をやめる」ということになると思います。問題になっているのは、市職員として残ることを希望した人たちです。三田市当局は、昨年の議会審議を通じて、「一人ひとりの希望を丁寧に聴いて、希望する人はTRCへの就職を世話する、それ以外の人の雇用についても市が責任を持って当たる」と明言してきました。

ところが組合側の主張では、これまでの取り決め、条件、慣例などが一切「なかったこと」にされてしまったというのです。従来の雇用契約がどうであったかを、わたしたちは詳らかにしませんが、市当局は「図書館という職場がなくなるのだから雇用条件が変わるのは当然」と述べているそうです。特に嘱託という雇用の形は専門職に限ったもので、司書という専門職がなくなるのだから、嘱託の雇用条件が適用されないのは当たり前、というのが市当局の論理のようです。

 

 事実とすればヒドイ話です。本来なら、指定管理者制度導入を決定する前に図書館職員に方針を伝え、雇用条件の変更について話し合いで理解を得て置くのが真っ当なやり方です。しかし現実は、すべてを既成事実化させてから、弱い立場の人たちに一方的に犠牲を強いているということです。TRCに就職する人、他の仕事に転ずる人も含め、嘱託・パート司書の皆さんは今、苦渋の選択を迫られ人生設計の大きな曲がり角に直面しています。

 

 市民の会はこれまで、「雇用問題」について関与すること、発言することを極力避けてきました。議会傍聴記で図書館問題の底流に「労使紛争」があることを指摘しましたが、どちらにも与しない姿勢を堅持してきました。雇用問題はあくまで労使で解決すべきことで、「図書館問題を考える」市民の会としては一線を画すべきだ、と考えたからです。今年新たに決めた「活動方針」でも一切触れていません。しかし現状を知るにつれ、市民の皆さんにお知らせすべきだと考えるようになりました。

 

 図書館職員がどのような道を選ぼうと、職業選択の自由として尊重されるべきことです。三田市当局は、議会という権威ある場で「責任を持って雇用する」と再三確約してきました。そうした答弁に際し、「市職員として残留を希望する場合は1年間だけの雇用」などとは一言も言っていません。傍聴したわたしたちは、これまで通りの処遇が続くものと理解しました。それが市民としての素直な受け止めだと思います。そうした約束が、すべて反故にされようとしているのならとんでもないことです。たった1年だけの雇用で、「責任を持った」などと言えないことは、誰が見ても明らかです。「職場をなくした」のは市当局で、図書館職員の責任ではありません。「状況が変わった」などという論理を、「状況を変えた当事者」が持ち出す資格はありません。市当局は嘱託職員、パート職員の訴えを誠実に受け止め、市議会での答弁をその通りに実行すべきです。市議会議員の皆さんにも関心を持って欲しいと思います。

 

 図書館の運営そのものについても、三田市は「現水準の維持」「さらなるサービスの拡充」など多くの約束をしました。『伸びゆく三田』には「具体的内容は決まり次第お知らせします」と書かれていました。しかし開館時間のこと以外、市民は未だに何も知らされていません。とっくに決まっていなければならないことですが、一体どうしたことでしょう。雇用問題での市当局の豹変ぶりを見ると、こうした約束もうやむやの内に反故にされてしまうのではないか、そう危惧せざるを得ません。

              (2014219)

三田市の図書館を考える市民の会ホームページ

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