2013/8/16

まちづくり常任委員会を
  傍聴しました。


8月12日、市議会まちづくり常任委員会が開かれ「三田市立図書館条例の一部を改正する条例」案について、三田市が概要を説明した。佐々木まちづくり部長と下嶋まちづくり部次長が説明にあたった。傍聴者は「市民の会」2人の他1人のわずか3人。
 
 
改正条例の内容
現行の三田市図書館条例は8条からなっている。新たに9条を追加して、ここに「指定管理者制度導入」を規定する。改正の主な内容は下記のとおり。
 
 
第9条 図書館の管理は、法人その他の団体であって、教育委員会が指定するもの(以下「指定管理者」という)にこれを行わせることができる。
2、前項の規定により図書館の管理を指定管理者に行わせるにあたっては、指定管理者は次の各号に挙げる業務を行うものとする。
(1)図書館の利用及びその制限に関する業務
(2)第4条に規定する事業(図書館の備品とする資料の収集を除く)の実施に関する業務
(3)図書館の施設等の維持管理に関する業務
(4)前3号に挙げるもののほか、教育委員会が必要と認める業務
 
3、第1項の規定により前項各号に規定する業務を指定管理者の行わせる場合における第5条から第7条までの規定の適用については、これらの規定中「館長」とあるのは、「指定管理者」とする。
 
 
改正の内容は「必ず指定管理者にやらせる」というのではなく、「指定管理者に任せてもよい」という意味。
第2項第2号の「(図書館の備品とする資料の収集を除く)」は、図書館業務のうち「図書の選定=選書」の最終決定権は指定管理者にはなく、市にあることを規定する。第3項の規定は、これまで館長が持っていたさまざまな権限を「指定管理者=民間業者」に委ねるという意味。この権限には「開館時間の変更」「休館日の変更」「入館者の制限」などがある。教育委員会の承認を得なければならないが、民間業者に館長と同じ権限が与えられる。
 
全体の印象
委員会を傍聴して印象的だったのは、以下の諸点であった。
 
イ) 公立図書館の理念や役割についての議論がまったくなかったこと。「社会教育・生涯学習の中核」「知の拠点」「司書を中心とした運営」など、公立図書館の理念・役割は、民間に委託されても引き継いでいかなければならないが、そうした観点での議論は一切なかった。
 
ロ)現図書館員の処遇については、議員側から「そのことを一番心配している」と発言があった。
 
ハ)しかし、利用者・市民に今回の問題をどう説明したか、どう受け止められているか、など市民目線での議論は市側からも議員側からも一切なかった。これは新鮮な驚きだった。特に市担当者の意識の中で、市民の存在は、「希薄」、極言すれば「ゼロ」と痛感した。
 
微かに浮かぶ具体的内容
 議員側の質問から民間委託の具体的内容が微かながら見えた。(市側が教育委員会に説明した数字だという)
@経費面では図書館経費の約一割を削減したい。
A開館日は年末年始と特別整理のため1週間の休館以外は全館開館する。
 の2点である。
 
「市民の会」がこれまでに入手した様々な情報を総合すると
 
@ 図書館経費は今年度が2億6700万円。したがって2600万円の削減が目標。
 
A 開館日は今年度270日(本館、全日に換算)を84日増やし354日にする。年末年始と特別整理期間1週間だけ休館。開館時間は全館午前9時から午後8時まで。これで、開館日、開館時間の増加は175%になるという。但し、これらの数字は未確認情報。この日の委員会で出たのは175%とという数字と年間の休館日数だけ。業者の見積もりを取るための概算だとの説明があった。
 
市民のニーズを裏付けるデータ無し・調査はしない
 
「市民の要望が多い開館日の拡大、開館時間の延長」という表現が枕詞のように使われる。この点に議員側から質問が集中した。まちづくり部長の答弁は、要旨次のとおり。
『市民の声をまとめたリストはないが、数件上がっている。図書館を開ければあけるだけ利用しやすくなるのだから、ニーズを調査する必要はない』
関連して図書費削減についても、
『条例が決まったら業者から見積もりを取るが、たとえ1割減にならず現在の経費と同額であっても、開館日が飛躍的に増えればそれは経費削減と同じ意味を持つ』という趣旨の答弁があった。
市民の常識ではこうした論法は決定的に間違っている。まず、「わずか数件の市民の要望」を「市民の要望が多い」と誇張すること。これは『嘘』に等しい。ニーズを調査をしてその最大公約数によって、各館ごとに開館日・開館時間を設定するのが当然の手法。その結果は、おそらく市が想定している「年間354日(本館)、午前9時から午後8時(全館)」より小さい数字になる。人件費も運営費も減り委託費用は「一割減」の想定よりもっと減る可能性が大。税金を使って行う事業なのだから、この程度の事をするのはいわば当たり前。例え逆の結果がでたとしても調査に基づく計画なら市民は納得する。それを全く否定し「経費削減にならなくても・・・」と平然と語る姿勢には、市民の税金を預かって使っている緊張感が全くない。こんな公務員が市政を担当しているとは、ただただ呆れる。
 
「現状のサービスを維持しさらにサービスを拡充する」の実態
 
このタイトルも市側が必ず口にする謳い文句。しかし、その実態が明らかになった。まちづくり部長が要旨以下のように答弁した。
開館日・時間の拡大以外のさらなるサービスについては、業者からの提案を待って決定したい
具体的イメージとして、市は何も持っていない、ということ。すべてが業者だより、こんなひどい丸投げは聞いたことがない。
 
最終決定権は教育委員会に
 
議員側とのやり取りの中で、図書館に関しての最終決定権は教育委員会にあることが分った。図書館は数年前に教育委員会から市長部局に移管されたと認識していたが、まちづくり部は「補助執行」の役割で、決定権者は依然として教育委員会とのこと。指定管理者制度導入については過日教育委員会に報告したと答弁(了承を得たかどうかは言及なし)。教育委員会が最終決定者なのに、この日のまちづくり常任委員会にはだれも出席していない。「補助執行者」がまるで当事者のように計画を決め、答弁に当たっている。なんとも奇異に感じた。教育委員の皆さん、しっかり役割を果たして下さい。・・・・と言いたい。
 
計画内容はいつわかる
 
「市民の会」への説明と同様、「選書」について最終決定権は市に残すと言いながら「全てはこれからの話」で鋭意検討中との答弁に終始した。その他、全体の具体的計画内容は次回委員会に示されるのかとの質問には、「業者にも聞き取りをして出来るだけ出すつもりだが、どこまで具体的になるかわからない。」との答弁。まちづくり常任委員会の次の会議は9月10日。ここで採決が行われる。なのに、その場に計画の全体像が示される可能性は極めて低い。条例では「細目は規則できめる」となっている。全体像がみえないまま、「指定管理者導入」だけが議決される恐れが現実のものになっている。
 
 
市民の会の皆さん、市民の皆さん、決定権をもつ議員さんたちに働きかけをしてください。「市民の会」の方針は「急いで決めないでください。来年度導入を先送りににして十分に議論を深めましょう」と言うことです。まだ時間はあります。知り合いの議員さん、支持してきた議員さんがおられるとおもいます。条例を可決してしまわないように呼びかけてください。
まちづくり常任委員会のメンバーは下記の7人ですが、対象はこの方たちばかりではありません。全ての議員に訴えましょう。そして、図書館の問題を本質から真剣に考えてもらいたいと思います。(文責 事務局 小林純生)
 
まちづくり常任委員会(敬称略)
委員長・福田秀章、 副委員長・中田初美、
委員・森本政直、肥後淳三、美藤和広、平野菅子、家代岡桂子
 
 
 
 

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