9月議会傍聴記 その3

中田議員「少なくとも本館は直営、が今の流れではないか」

竹内市長「組合が人員増要求、直営では不可能だ」

 

96日の市議会一般質問では、図書館問題について中田初美議員が一般質問、平野菅子議員が総括質問をしました。これで本会議での質問は終わり、来週から委員会審議が始まります。


中田議員は、
社会教育委員の会への諮問当時の方針と、答申を受けてからの方針が、突然
180度変わったのは何故か。
市民への説明、議論、納得が必要だ。
何故そんなに急ぐのか。
図書館への市長自身の評価。
指定管理者制度のメリット、デメリット。
何故いきなり全館導入なのか。本質的な図書館サービスは低下するのではないか。
明石市以後、兵庫県内では全館導入はなく「本館は直営」が流れ――などなど、途中、佐賀県伊万里市長が図書館に寄せる思いを綴った文章を紹介しながら、「直営維持」の立場から詳細な質問をした。これに対して、市側はすべての項目には答弁せず、「他の議員の質問に答えた通り」などの答え方も散見した。

以下、市長、市側答弁の主なものです(一部は「その1」「その2」と重複)

 

市長答弁その1市民のニーズが多い開館時間の拡大は直営では不可能。日祝日開館の際も4名の増員が必要だった。組合は必ず人員増を要求する。今年度の開館日は本館270(休館95)、ウッディ分館250(休館115)、藍分室164(休館201)という状況で藍分室は休館日の方が多い。経費の面で市民が図書館にどれだけ使うことを認めるかも重要だ。今回のことで図書館の実態が市民に対して明らかになったことに意味がある。サービスの向上、移行のメリットを市民に説明し、納得した後に移行したい。市民が納得しなければ現行でいくしかない

 

傍聴者の感想・意見:竹内市長の図書館への将来ビジョンを具体的に聴きたかったが答弁がなかった。開館日が増やせないのは頑なな労働組合のせいだ、という論法が印象的だった。当局と組合の間で正規職員の欠員補充を巡って、ここ数年の紛争が続いていると聞く。交渉の場ではずっと「図書館の直営は堅持する」が話し合いの前提だったという。それを民営化という形で一挙解決したいというのが、市当局の本音なのか。何となく腑に落ちる感じの答弁だった。しかし、市民が労使紛争のトバッチリを受けるのなら迷惑この上ない話だ。「市民が納得しなければ現行で行くしかない」がどういう意味なのか測りかねるが、開館時間の拡大もサービス拡充もしないということなのだろうか。私たちは当面、民営化よりはその方を望むが…。

 

市長答弁その2(社会教育委員の会への諮問は「本館は直営でいくので、分館の形について論議をお願いしたい」というものではなかったのか。実際、議論も本館直営を前提として行われていた。録音起こしの記録を読めば明らかだ。市長もそれを読んで欲しい、との中田議員の再質問に)、 説明を受けただけで読んでいないが、読む努力も必要かもしれないと答弁した。その後、しかし、スピード感も行政に求められるものの一つだ。この問題は時間を切ってやっていきたい、と述べた。

 

市側答弁その1民営化については社会教育委員の会の答申を受け内部で十分に検討して結論を出した。公務員の勤務実態では柔軟性を欠き、民営化以外に開館日、開館時間の拡大はできない。これも含め、具体的内容が決まったら市民に知らせ説明する。業者の選択は、雇用者の勤務条件なども検討しワーキングプアを助長するなどの非難を受けないようにしたい。委託費の提示額が安いだけでは選定しない。

傍聴者の感想・意見:中田議員は社会教育委員の会への「諮問」と「答申」について、かなりの時間を費やした。初日の美籐議員の質問も、実はこういうことに関連していたのかと、この日気がついた。「本館は直営を前提として議論した」という情報は、市民の会にも複数の元社会教育委員から寄せられていた。会議の録音起こしがあることは知らなかった。どんな論議が行われ、どう集約されて「全館対象の両論併記」という答申となったのか興味津々だ。

 

市側答弁その2(中田議員が「全館指定管理導入の先行例として市が視察した摂津市は、時間延長しても利用者はそれほど増えていない。登録者は166人の減、登録率も22.3%から21.8%に減少している。指定管理を導入しても効果が出ていない点の検証をしいるか?良いことばかり言うが決してメリットばかりではない。デメリットの実態も把握し十分な議論をすべきだ」との再質問したのに対し)、中田議員は「民間は悪」という前提に立っているようだ。公務という勤務体系の制約の中では図書館サービスの拡充はできない。民営化によるデメリットがないわけではないかもしれないが、デメリットを知ることによって、それをプラスへ変える方法を考えることができる。

傍聴者の感想・意見:デメリットを知ることでプラスに変えられる。凄い論理ですね。そんなことが可能ならデメリットなど存在しなくなる。また、プラスに変える努力をするのは委託業者で三田市の職員ではないですね。そこまでナイーブに民間業者を信じ、能力を高く評価できるのは一体何故? 逆に身内の組合や図書館職員への評価は極端に低い。公務員は無能力者ばかりという自省の言葉に聞こえた三田市はそんな人たちが動かしているのですか。幹部の皆さんも評価の低い職員たちのお仲間、それも上司に当たる人たちですよね。「天に唾する」の類でしょうか。

 

 

ついに議長が注意 この日も特に中田議員に口汚いヤジが飛んだ。いつもと同じ人物。議場に同調するかのような下品な笑いも。そのヤジ最たるものが「共産党特有の悪質なプロパガンダだ!」。坂本議長が「発言中ですから静粛に」と注意。しかし、その後も何回かヤジが飛んだ。議会全体の品位が疑われます。

 

平野議員「直営で開館日増やした場合の試算を」

市側「30人の増員が必要になる」

 

総括質問に立った平野菅子議員は、(1)三田市の目指す図書館。(2)条例提案に至る経緯。(3)指定管理管理のメリット、デメリット。(4)諸問題について質問しました。その中で、何故指定管理者制度導入が必要なのか、サービスの具体的内容について、市民目線で市民に分かり易く説明するよう求めました。また、具体的に
直営で開館日を拡大した場合の試算。
嘱託・パート司書の処遇。
民間業者との契約期間、司書の人数。
今後のスケジュール。
民営化移行後の管理体制、達成目標、評価方法。*市民への情報提供、説明責任――などを質問しました。
平野議員は6月議会で市長の「来年度導入」の答弁を引き出した人。導入を前提とした質問という印象だった。

 

市長答弁:図書館をより利用し易い、親しまれる施設にする。開館日の拡大だけでなく、学習機会を館外にも広げたい。図書館からの情報発信、来館しなくても利用できる方法など固まり次第、市民にも説明する。図書館改革は私の強い信念。できるものは早くやらなければならない、私の任期中に実現したい。

市側答弁:前例にとらわれず柔軟性、専門性、公共性の観点から民間ノウハウを生かしていく。多世代交流の場とするほか、知の拠点としての役割も果たしていく。直営で休館日20日、開館時間3時間延長のためには30人の人員増が必要。民営化後も館長はじめ主要ポストには司書を配置するよう求める。現在の嘱託・パート職員らは指定管理会社への転職などの希望調査をする。

この条例改正が成立したら公募を開始して選定作業に入り、12月に業者を決定し市議会の承認を求める。市には各部に常設の選定委がありそこで作業する。外部専門家によるモニタリングを行い、評価指標を設け業者の管理に万全を期す

計画が固まり次第、市のホームページなどで市民に向け公表する。関係するボランティアには直接説明の機会を設けたい。

 

傍聴者の感想・意見:賛成派議員に対する答弁は懇切丁寧、というより総括質疑はは市の言い分を一括して表明する場になった。この中で、市長の答弁では触れられなかった「図書館は知の拠点」という文言が市幹部の答弁の中で使われた。しかし、やはり「多世代交流の場」より下位の定義付けだった。また、嘱託・パート職員も単純に市が雇用を継続するのではなく、「希望調査」という形で、指定管理会社への就職斡旋を行う姿勢が明らかになった。また、市に常設の選定委員会があることが明らかにされた。特定の業者とのやり取りがかなり前から行われている印象を受けた。

想定している開館日拡大には、直営なら30人の人員増が必要との答弁も初めてのもの。民営なら何人になるのか。以前の情報では、現在の60人規模から10人以上の減員が可能とされていた。とすると、直営なら90人程度必要なところが、民営なら僅か50人で可能、という理屈になる。これは凄い、どんなノウハウなのだろうか。

市民に情報を公開する方法は、市のホームページという答弁だった。それだけでなく是非、対面での話し合いを求めたい。また、ボランティアには直接説明をしたいとのことなので期待したい。が、一体いつのことになるのか。12月に業者を決めるスケジュールだが、その時点では業者からの提案を基に具体的な「民営図書館」の姿が決まっているだろう。とすると早くて12月? 結局、「こう決まりました。これでいきますからご理解を」ということになりかねない。それに、答弁はあくまで「説明したい」で、「意見を聞く」ではなかった。

市長が「私の任期内に」というように、市当局は何が何でも強行しようとしている姿勢が明らかになったと言わざるを得ません。

三田市の図書館を考える市民の会ホームページ

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