「三田市の図書館を考える学習会」報告


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 [1]   司会者による冒頭発言と講師紹介
まず、今日の趣旨について簡単に説明いたします。
 ほとんどの人がご存じないと思いますが、今、三田市では市立図書館の全館全業務を指定管理者制度によって民間業者に代行させる計画が急ピッチに進められています。図書館は、『社会教育法』、『図書館法』によって自治体が設置する市民の「知の拠点」「情報の広場」であり、社会教育、生涯学習の中心となる重要な施設であると思います。 図書館のサービス(奉仕)は完全に無償で提供され、司書資格を有する職員を中心に運営するよう法律で定められた公の施設です。この市民の文化的な生活に大きな比重を占める施設が、私たちがほとんど知らないまま、情報を提供されないまま、制度的に大きく変えられようとしています。 
 この学習会は、そうした行政の動きに「一体どうなっているんだろう」と、危機感をもった市民の有志が計画し、自然発生的に出来上がったものです。私自身、こういう事態になっていることを知ったのは先月(6月)の27日。非常に驚き、知り合いに電話をしたり話をしたりして情報を集めました。
 とにかくまず指定管理者制度とはどうのようなものか、まったく知らない。そのことを含め事実を知りたいと言うことで、この「学習会」をやろうということになったのが、今日までの経過です。
 講師をお招きしていますが、講師のお話の前にこの「学習会」の基本的なスタンスを再確認しておきたと思います。
 
1.充分な議論も説明もまったく不足している今の段階では、いきなり市立図書館へ指定管理者制度を導入するのは少し待ってほしい。
2.私たちがそれぞれ一人の市民の立場で勉強して、指定管理者制度を導入することことにどんなメリット・デメリットがあるかということ知る。そのうえで三田市に持ってきた場合、どうなのかと言うことを明らかにしていきたい。
3.原則的なことであるが、公立図書館の本質的役割というか目的というものはどうなのか、今、三田市立図書館がどのような現状にあるか。課題は、解決策は、また、今後どのような図書館になった方がよいのかという将来像も含めて考えていきたい。
 以上三つの点をこの学習会の基本的な目的としたいと考えています。
 
 今日は、講師に清水純子さんをお招きしています。
清水さんには、指定管理者制度とは一体どのようなものなのか、全国的な状況、兵庫県内の状況、三田市に導入した場合はどうなっていくのかと言うことを中心に1時間程度おはなし頂き、その後、質疑を含めたフリートークをしたいと思います。
 清水純子さんは、兵庫県立図書館司書として長く働かれ、退職後「図書館問題研究会」の兵庫支部で事務局長をされています。 「図書館問題研究会」と言うのは、指定管理者制度も勿論ですが、図書館をめぐる様々な問題を自由な立場で調査研究している団体と言うことです。清水さんは経験も知識も豊富なベテランです。今日はお忙しい中を舞子から駆けつけてくださいました。では、清水さんよろしくお願いします。
2013/08/01

 [2]   講演「図書館は市民のために〜公共図書館と指定管理者制度〜」趣旨
清水純子さん(元兵庫県立図書司書・図書館問題研究会兵庫支部事務局長)
 
 清水さんは講演の表題を「図書館は市民のために」とした。「図書館は市民のためにある、図書館員は現在、そして未来の利用者のために働く」という意味を込めた、と前置きして以下の項目について講演した。
 
@公共図書館について
 公共図書館とは、一般に広く公開されている図書館をいう。反対に広く公開されていない図書館には例えば学校や大学や大学の図書館があある。研究団体や一般企業が設置していて、何らかの利用制限がある所もある。これら限定公開の図書館に対して、公共図書館はほとんどが自治体、地方公共団体によって設置されている「公立図書館」だ。社団法人等が設置する私立図書館も若干あり、公立図書館と私立図書館をまとめて「公共図書館」という。
 地方公共団体による公共サービスとしての図書館の仕事は、何に基づいて行われているか。 まず、「日本国憲法」がある。憲法の精神に則って色々な法律が定められている。
 第25条は福祉関係でよく耳にするが、図書館の理念もこの25条にある。 
 次に「教育基本法」。第12条@個人の要望や社会の要請に答え、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならい。A国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興につとめなければならない。
 第2章で社会教育について定め、これによって「社会教育法」が定められている。
 社会教育法第9条、図書館及び博物館は、社会教育のための機関とする。
第9条の2、図書館及び博物館に関し必要な事項は、別に法律をもって定める。―とされている。これによって「図書館法」が定められている。ほかに関係する法律として、「子どもの読書活動の推進に関する法律」「文字活字文化振興法」があり、読書の大切さをうたっている。
 法律ではないが図書館員が仕事をする上で、よりどころとなる宣言や要綱がある。「図書館の設置及び運営上ののぞましい基準」、「ユネスコ公共図書館宣言」、「図書館の自由に関する宣言」、「図書館員の倫理要綱」、「公立図書館の任務と目標」など。図書館の役割や読書の大切さはよく理解されていると思うが、図書館活動を支える法律と理念には以上のようなものがある。
 
(参考)憲法第25条 すべての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。
 
 
A指定管理者制度について
 公民館とか図書館とか、身近な施設がここ数年、この指定管理者制度で四苦八苦している。自分の住んでいる市の図書館が指定管理者制度になったと言われても、もう一つピンとこない。同じように開いているじゃないか、中で働いている職員が同じ顔ぶれという事がままあり、あまり気にしていないという人が多い。指定管理者制度は一言でいうと民間委託(代行)。官から民へ。民でできることは民でやってもらおうという考え方。正確にいうと地方公共団体から民間の私企業へと言うことに。地方自治体がやってきた仕事を、税金で委託料を払って、儲けを出したら会社の懐にいれていいと、公務をまる投げにするのが指定管理者制度。何で税金で会社を儲けさせないといけないのか?実際にはそういうことだ。
 指定管理者制度は、2003年(平成15年)6月に、「地方自治法」を改正し、2006年9月に施行された。それまでにも業務委託というのが図書館の中にあった。掃除や空調関係の一部の業務委託だった。図書館業務運営の委託は1980年から始まって少しずつ増えていった。1990年代は多くの図書館が建設された年代で、運営については、委託ではなく非正規職員を増やして対応するということが多かった。2000年代になり、非営利活動を目的とする民間組織NPOへの委託も導入された。NPOというと自発的に業務委託を受けたように思われるが、自治体の肝いりでNPOを作って委託したところもある。
 委託件数が加速的に増えたのは当然の事だが、2003年の指定管理者制度の導入から。「地方自治法」を改正してまで、それまでの業務委託から指定管理者制度に変えたという背景には、行政改革、規制緩和など色々あるが、一言でいえば経済界の要請につきる。それまでは、最低半分は自治体が出資して作った法人・財団法人などに業務が委託されていた。つまり「公からの縛りが強い」制度だった。ところが、新しい指定管理者制度では、「丸投げできる。企業が儲けることができる」制度に変わった。
しかし、そんな本音で法律改正はできないので、「民間のノウハウを活用した効率的な運営によって、経費節減とサービス向上を図る」を目的として揚げられた。
 
B指定管理者制度になると
 図書館というのは、仕事量が増えれば増えるほど、利用者が来れば来るほど、経費がかかる仕組みになっている無料が原則だ。図書館法の17条に「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」とある。この法律の縛りがある限り、利益を得ることは不可能に近い。
 しかし、引き受ける会社はあった。まず、人材派遣会社が名乗りでた。この会社はコンピュータによる図書データーの管理などはまったく経験がなく、それができる会社と組んで指定管理に入った。次に図書館業務が専門の業者が入ったが、利益を得ようとすると人件費しか減らすところはない。電気を消すとか消耗品を減らすとはできない。本、雑誌、CDなどを買う資料費は、自治体が年間これだけの資料購入を守れと縛りをかけるので、削るのはまさに人件費だけになる。図書館をよく知っている業者が運営する図書館は、条件の良くない雇用をしている。最低賃金は守り、社会保障制度も一応あるが、利益をだすために最低の保障になっている。まさにワーキング・プアだ。自治体も企業も、開館日が増えた、開館時間が長くなったと成果を挙げるが、中で働く人間には大変なことだ。カンウンターの中にいる職員が疲れて余裕のない状態になっている。
 
C継続性が失われる
 指定管理者制度のもう一つの問題は、継続的な仕事を積み上げていけるのかという事。業者との契約は、3年とか5年のパターンが多い。もっと長い契約期間にすべきとの声もあり10年にくらい変わるかもしれないが。職員は過重な労働で疲れきっていて窓口業務で精一杯。利用者には見えない裏方の仕事もあるが、それらは積み残しになっていく。その中でも特に心配なのは「郷土資料の積み上げ」だ。郷土資料というのは、三田市ならば三田市、またそれ以前のこの地域の資料の事だが三田市にしかないものが多い実は使えば役に立つものがたくさんある。今、新聞などで話題になっているのは古文書に載っている地震の時の記録。こんな被害があった、津波がここまできたと克明に記されている。それは今でも防災に使える。役に立つ資料が隠れている。指定管理の契約事項に「郷土資料を手当てする」というのは入っているが、実際には無理。集めても整理して使えるような状態にしておくことは、なかなかできない。資料を集める作業は一旦途切れると、抜けた部分を将来補充するのは難しい。そのときに集めておかないと後ではとても難しい。三田市の郷土資料に空白の部分ができてしまう。資料の積み上げが失われる。また、司書資格は簡単に取れるが、資格を取っただけでできる仕事はなく、10年20年と続けていく中で身につくものがたくさんある。経験で育っていく。利用者に育てられるという面も充分ある。それが指定管理者制度ではとてもできない。
 
Dデータを売ることが目的
指定管理者制度によって参入してくる図書館業務専門の会社と言うのは、東京に本社を置く会社。この会社は人件費で利益を上げる以外に、もう一つ大きな理由が「MARC(マーク)というデータを売りたい」という事。図書館の資料は、昔はカードに一枚ずつ書いていた。今ではMARCがコンピュータに対応して出てきた。一冊の本に関する全てのデータが集まったものだ。この会社はMARCも作っている。そのMARCを売るほうが儲かる。指定管理になると当然、本を選んで買う。その時、自分のところで作ったMARCとセットで入れる。MARCを売りたいために参入するというのが主目的だ。MARC自体は悪いものではない。以前はそれぞれの図書館が苦労して1冊の本に何枚もカードを書いていた。今は、国立国会図書館と2〜3社が、それぞれMARCを作って売っている。図書館はそれを買って著者名、書名、出版社と組み合わせてき、利用者から聞かれたらすぐわかるシステムになっている。とても省力化になった。ただ、書名や著者名などには問題は無いが、歴史とか文学とかの「本の分類データ(NDC)」については問題がある。ほとんどは図書館現場を知らない社員がつけているので、往々にして変なことになる。 変まま日本中の図書館がそのMARCを使っているケースがある。目をつぶれる範囲はつぶって使っているが、「冤罪事件」を「選挙違反」に分類する大きな間違いがあった。大学図書館まで間違った分類のまま公開した。日本国中が一企業のデータで支配されてしまう怖さを感じた。さすがに国立国会図書館のMARCは正しく分類されていた。この図書館業務関係の会社は、自治体が募集する時必ず参入してくる。他のところより質・内容は良い。委託料は少し高いが採用される。この会社が業務を請け負うところが全国にどんどん増えている。多くの人が本を読む図書館を、一つの企業が全国的に占めて行くというのは怖い事態だ。本質的に図書館業務に合う会社外貨に少ないかということで、図書館に指定管理がなじまない大きな証拠だ。
 
E人材が育成できない
まだ困ることがある。同じ図書館業務の会社の話だが、HPを見るとその会社の特徴として「館長以下、弊社が責任を持って育成したスタッフが図書館業務に当たる」と書いてある。しかしこれは大嘘。今、指定管理者導入の図書館で働いている人たちの中心は直営時代の図書館で働いていた人。指定管理になると正規職員は本庁に引き上げられ非正規は解雇される。指定管理会社は業務に慣れた人がほしいのでその人たちをそのまま採用する。ここの事例では条件が悪くなった、ちょっとは良くなったと色々だが、経験を積み上げるのには3年5年では無理で、直営で働く方が伸びる。 指定管理業者は退職した正規の図書館員を館長職にするケースがほとんどだ。館長はじめ指定管理で働いている職員は会社が育てたわけでなく税金で育てられてきた職員だ。
 
F佐賀県武雄市の例
図書館の指定管理導入率は他の分野より割合が少ないがじわじわ伸びている。九州の佐賀県武雄市のように派手にTVで報道されると、最近の市長はすぐに影響されてしまう。しかし、国がとめにかかっているのが現状だ。サービスや長期的なことを考えて安易に導入するのは望ましくないと、法律を変えた国自体が言うようになっている。図書館は「地方自治法」より、「図書館法」に基づいて動くものだから、指定管理者制度の導入そのものが間違っているという説もある。 武雄市長は市民満足度を大事にしているといっているが、図書館の大きなスペースをコーヒー屋、文具屋、本屋に明け渡したという感じになっている。実際見に行った者の話では、図書館は今までそろえていた雑誌を買うのを止め、それは同じ建物内の本屋で買ってくれということになった。カフェのテーブルで図書館の本が読めるというのも売り物だが、お茶を頼まなければそのテーブルは使えない。間違えてカフェに座って図書館の本を読んでいると、すぐに注文をとりに来る。直営の図書館でもカフェがあるところもあるが、それは近所に喫茶店の無いところだ。
 
G経費削減、民間のノウハウ
武雄市の市長は経費削減になったといっているようだが、カフェコーナーを作るのに何億円か市のお金(税金)で改築し、郷土資料コーナーをつぶした。人件費的にいっても、指定管理者制度は経費削減にはならないといわれている。「民間のノウハウを活かして」と言うことを政治家、市長は必ず言うが、民間のノウハウとは何か。これまで民間で図書館をやったことはなかった。ノウハウを持っているはずがない。図書館関係の会社1社だけあるようだが、一から直営館をやった経験はない。もう一つ問題なのは、三田で展開すべき図書館サービス、5年10年後に残していくべき図書館業務は、東京の会社ではできないということ。
三田をわかっていなければ三田の図書館運営はできない。いくら民間ノウハウでやるといってもできないものは、できない。
効率的な運営は直営でもできるはずである。あちこちで指定管理者制度導入が問題になって、導入されるとTVや新聞が取り上げるが、市民が阻止したケースはあまり取り上げない。阻止した例も結構あるので、そういうところと連絡を取ると良い。インターネットにも色々出ている。
 
Hまとめ
図書館司書は専門職といわれるが、教員、警察官、看護師、医療関係のような専門職とは思われていない。世間の見る目は「本を読んでいれば良いのだろう」と言う程度のもの。図書館を使ったことのない人のほうが使っている人より多いが「図書館の仕事は綺麗でいい」といわれる。専門職の割りに世間に認知されないという悲しさがある。指定管理者制度になるとき、多くの市民の理解を得て阻止することができないというのは、図書館員の側にも問題があるのだろう。図書館協議会(諮問機関)が無い所では、市民の意見をまとめる事ができていなかったというのもあった。協議会があってもアリバイ作りのためだけというのもある。図書館は利用者のためにある。図書館員のためにあるのではない。図書館の司書は利用者のために働く。今の図書館だけでなく5年後、10年後、20年後の市民のために働くという意識をもっている。その点をご理解いただいて、「図書館は直営で」と感じて帰っていただければ幸いだ。
私は児童サービスをやりたくて図書館員になった。児童サービスも安定した図書館運営の上に成り立つ。市民の理解・協力を一番得やすいのは、おはなしボランティア、点訳、対面朗読のボランティアなどとつながることだ。図書館の安定した運営があってこそ、一つ一つのサービスも充実する。
三田市立図書館への応援をよろしくお願いします。
 
 
2013/08/02

 [3]   質疑応答
<司会> ありがとうございました。乱暴な纏め方をすると、公立図書館は市民のための図書館であること、郷土の文化を引き継いでいくためには継続性が大事であること、一つの企業、他所からきた企業がはたして三田の図書館をうまく運営できるのかということ、児童サービス等を考えても公立・直営であることが望ましい。全体的な方向としては指定管理者制度は図書館にはなじまないこと、国でも若干ブレーキをかける傾向にあること、経費削減についてもかなり疑問があること―以上のような内容だったと思う。この話を踏まえて質疑に移りたい。
 
・図書の選定について  三田市の図書館を利用している。今日の話ではあまり触れられていないが、本の選定方法に疑問がある。国会図書館から資料を取り寄せることができるので、取り寄せている。市民のための図書館なのに何故ないのかと思った本があった。日本弁護士会が出版し、市販はされていない交通事故の判定基準に関するものだ。そうした本を2冊取り寄せてもらったことがある。また、戦後の現代史をきちんと学べる資料があまりに貧弱ではないかと思い10冊ほどをしに提案した経緯もある。そんなことで図書の選定をどなたがどういうふうにしているのか疑問をもっている。指定管理業者に変った場合、司書の資格がある人が何人かいると思うが、はたしてそれで今の管理費よりも安く上がるのか。本の選定についても丸投げで業者任せになるのか。そうした場合偏りが出るのではないか。今でもそういう傾向が出ている。市民に対してマイナスになるのではないか。そういった問題についてどう考えているかお尋ねしたい。
 
<講師> 図書選定は自治体によって違う。市に権限を残すという所と、業者に丸投げするパターンと二つある。市役所の中に選書の権限を残したとしても、ずっと図書館にいて、ある程度経験を持っていて、本について傾向をつかんでいる人が役所にもいなくなったら、また自治体職員で図書館業務を知っている人がいなくなったら、選定も業者にまかせるしかなくなる。選書は窓口にいなければできない。それともう一つ、業者の図書館業務を評価しなければならないが、市役所の中に図書館業務の経験のある人がいなくなると、業者自身が評価を作るようなことになりかねない。選書は大事なことだが、指定管理になると業者任せになって行かざるを得なくなる。
 
海外ではどのような状況か 日本での指定管理者制度の話はわかったが海外ではどのような状態なのか。図書館に指定管理者制度が入っているのか自治体がやっているのか。日本では図書館の存在は薄いと思うが、日本と海外での図書館の存在というものの意識の違いを教えてほしい。
 
<講師> 海外の指定管理制度の状況はあまり知らない。あまり聞かない。例えばアメリカはお金が無くなったら図書館を閉めてしまうこともある。一度、大阪の泉南の方でそれをやった。週一日だった休館日を2日にして経費削減を図った。海外における図書館事情は国によって違う。そもそも図書館がない国もある。図書館の大小はともかく、日常の生活圏内にあって子どもでも行けるという所もあれば、親と一緒でなければ行けない遠くにしかない所もある。東南アジアのようにほとんどない国もある。図書館に対するイメージ・・・。日本で図書館を使わない人には、『図書館には読みたい本が置いていない』『なんで有名どころの本が置いていないのか』『返しに行くのが面倒だから読んだら売った方が早い」など、色々なパターンがある。しかし、子どもでも行ける範囲に小さくても図書館があるのが良い。図書館を身近に感じて図書館を使いながら育ち、大人になっても使ってもらえるのが良い。日本は「一市に一つある」とノルマは果たした。インターネットで何でも調べられるとなると、図書館はどうしたらよいかという問題もある。しかし、インターネットはインターネットで使うし、紙に印刷されたものは紙で生き残ると思う。
 
図書の選定  さっき質問に出た「図書選定を三田市はどのようにされているか」ということの答えを聞いていない。ぜひ聞きたい。
 
<講師> 私ではお答えできない。
<参加者> ここに答えられる方がおられれば・・・
<学習会メンバー> 図書館に直接聞いて頂かないと、私たちは学習会の者なので答えられる人はいない。
<参加者>  図書館関係の人がいたら答えて頂けるかと思ってお尋ねしたのだが。
<講師> HPの図書館要覧などに選定基準などが出ていないだろうか。HPに出ていなければ年報とか要覧と言った業務報告的なものに出ているのではないか。三田の図書館について感じるのは、市民の方からの要望には何とか応えようという姿勢で仕事をしているということだ。買うのがむりなら県立や国会から借りるという応え方も含めて、なんとか応えようと仕事をしているという印象だ。
<参加者> 以前、どのように選定しているか図書館関係者に聞いたことがある。係長級の司書で全体を見渡せる方が4人くらいで選定していると聞いたのを思い出した。現状はどうかわからないが、そんなイメージではないか。
 
今後の進め方  視覚障害者です。点訳で図書館を利用させてもらっている。点訳してもらいCDも聞いていいる。市民の会として発足するということだが、図書館で働いている方は捉えているのか。今日の集まりとどのような関連性を持っているのか。これから先はどういう形で発展させていこうとしているのか。あわせて聞きたい。
 
<司会> 今後の事は、この会をやった後で考えるということだった。あくまで市民だけの集まりで、まだ図書館の方とも、また特に話を聞かねばならない市の人とも、議会の人とも何の接触もしていない。今日は単なる勉強会であって、まだなんとの会ができたわけではない。今こういう声もでたので、やはり続けていかなければならないと思う。継続的にやっていきたい。その中で図書の選定のこと、図書館の人はどう思っているのか、障害者が受けているサービスはどうなるのか、なども勉強していきたい。
 
指定管理者制度導入のスケジュール スケジュール的にはどうなっているのか。今からで間に合うのか。導入は阻止しなければならないが、どう動いているのか。私が聞いたのではこの春ぐらいだが、「絶対阻止」と認識している。市民運動を盛り上げていかなくてはと思うが、議会などの承認も含め時間的なものはどうなのか。
 
<学習会メンバー> この会の言いだしっぺの一人です。指定管理者制度導入のことがわかった日に議会を傍聴に行った。賛成議員の質問に対し市長の答えは「市民サービスが良くなるから指定管理にしたい」だった。いつ頃にという質問には、副市長が「来年の4月には指定管理にしたい」と答えが返ってきた。議会記録を見ればキチンとわかると思う。
 
<利用者のマナーにも問題>   指定管理を阻止するという前の段階で利用する市民の考えも変えていかなければならない。期限が切れても延滞する人がたくさんいる。一つ一つ請求していたら多額のお金がかかって無理だと聞いた。その本を読みたいということなら電話で請求するが・・・とも言われた。市民のほうから、市のほうに指定管理を考えさせる材料を与えているのではないか。借りる方のエチケットを守って、市民の側も意識の改革をしなければならない。どこの小学校も図書の財源が少ない。図書館の古い本を市民に無償で提供することがあるが、小学校や幼稚園の先生が凄い勢いでよい絵本を持って帰る。一般の人たちに渡らないと腹が立ち、他市で教師をしている姉に聞いたら「堪忍してお金がないねん」と言われた。指定管理にされたら、学校への古い本の提供もできなくなるのではと心配。図書館は教育の中枢なので、ぜひ阻止できような大成を作らねばならない。
 
<司会者> ご意見としてお聞きしておきます。
 
視覚障害者サービスはどうなるのか  こういう会があると犬の散歩友だちのお話したら、「他の所ではサービスが良くなって時間も延びるし、お休みも少なくなっているらしい」と言われた。ちょっと待ってと思った。いいこともあるけどそれには裏があると。主人は視覚障害で音訳の本を送ってもらって助かっている。一生懸命読んですぐ返す。音訳ボランティアさんに「図書館の部屋を使わせてもらって色々やっている」と聞いている。主人が楽しみにしている。お世話になっているボランティアさんの待遇(活動)はどうなるのか心配だ。
 
<司会> 県にいくつか導入しているところがあるが、この点どのようになっているかお聞きしたい。
 
<講師> 県内での導入はいくつかあるが、特にボランティア活動に変更があったとは聞かない。「やってくださるならどうぞ」「勝手にやっておいて」となるのでは。お話ボランティアで入っている人たちは距離ができたと感じているようだ。
 
<司会> 開館時間が増え、休みが少なくなった事例は?
 
<講師> それは業者が絶対最初に請け負う。開館時間を延ばし休館日を減らすことは必ず条件につけるので・・・。
 
<参加者> 企業がやっているところに、ボランティアさんが入るのは気の毒。
 
<講師> 企業の儲けを手伝うようなものなので、気の毒といえば気の毒。直営の時よりは距離があるようになると思う。
 
<視覚障害者>  私たち視覚障害者は情報障害といわれるように、図書館と我々は切り離せない。今のシステムでは、(図書館)カードを預けておけば、電話一本で全ての事が済む。この話を聞いたときサービス低下でこれから大変になると思った。やはり差別というか、システムが変更される。簡略化されると我々はますます距離が離れる。視覚障害者の立場を理解して活動を進めて頂きたい。
 
三田市へパブリックコメントを書いた  事実を伝えます。三田市のHPのパブリックコメントに質問した。『三田市の図書館は他の自治体に見本として示せるほど市民が進んで利用する理想的な図書館だと思う。何故それが後退するような指定管理者制度を導入しようとするのか理解できない。導入を考える根拠を理解しやすく市民に提示できるでしょうか。安易な導入は図書館利用が多い文化的な三田市の格を下げてしまわないか。図書館利用者の声に充分に耳を傾け慎重に進めるべきだ』というコメントをいれた。2週間後に来た回答は次のような内容だった。『本市では図書館の今後のあり方について社会教育委員の会に諮問した結果、図書館運営のさらなる充実の必要性とその実現を図るため、民間活力である指定管理者制度の導入も検討し最善の方法を見出して欲しいとの答申を得た。また、市民からは開館時間の延長、開館日、一人当たりの貸し出し冊数、貸し出しの際の利便性など図書館サービスの充実、拡大を求める声も多く寄せられている。市では施設管理等、業務運営での合理性や効率性を追求し、現在のサービスをされに拡充するために指定管理者制度を導入することにした』という、もう決定したような返事だった。そういう現状にあるということを踏まえ、速やかな対応が必要だと思う。
 
<参加者>  社会教育委員の会の答申が、市からの回答で出されていたが、社会教育委員の会で実際に議論されていた内容と、教育委員会から提出されていた答申書の内容が、全然違うものになっている。
 
<司会者>  この部屋を明け渡さなければいけない時間になっている。別の部屋を用意する。「考える会」として続けていかなければならないと思うので、会に入ってやっていこうという方は残ってください。別室で、この後どうするかの話をしたい。
今日の学習会は、一旦これでおしまいにします。 もう一度、講師の清水さんに拍手をお願いします。
 
2013/08/05



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